産後ママをはじめとする女性に糖質制限ダイエットが間違いな理由
毎回テレビや広告で大きく宣伝されている有名ダイエットジムのビフォーアフター。プルンプルンのお腹がシックスパックになって生まれ変わったような姿に、わたしも〜♡と憧れてしまうものですよね。そのダイエットジムでは、筋トレ&糖質制限食が基本なんだそうです。低脂肪高たんぱくの食事は見習うところがありますが、わたしとしては、結果が出るまでの数ヶ月お米もパンも食べられないのはキツいな〜と思ってしまいます。なんでも食べて良いチートデイも、わたしは一回やってしまったら歯止めがかからない気がしますし…。
ここまでストイックにはできないし、ジムに通うまでではないけれど、少し食事を抜くくらいなら、糖質制限ダイエットやってみようかな♪と思う日とも多いはず。今や、肥満体型の人からダイエットの必要ではない人まで、一度はやってみたことがあるかもしれませんね。
キツいな〜とはいいつつ、もちろんわたしも若い頃に経験済み。しかしながら、きっとあなたと同じように(?)挫折からの大いなるリバウンドで大失敗して今に至ります。
今日は、わたしの経験を交えながら、産後ママをはじめとする女性が糖質制限ダイエットに失敗してしまう原因をお話します。
実は、ダイエットを始める時、男性はジムに通ったりランニングを始めたりと運動から入るのに対し、女性は運動は極力避けて食事制限で痩せたがる傾向があるそうです。そのため、お米やパン、パスタなど糖質を抜くだけなら簡単かも!と糖質制限ダイエットが流行った時期から女性の多くが飛びつきました。しかし、その大半の女性がダイエットに失敗。反動によりダイエット前よりも体重が増えてしまうリバウンドに悩んでいるのです。
では、なぜ女性の多くが糖質制限ダイエットに失敗するのでしょうか。
1.生理がある
女性には、生理による身体的、精神的な周期(波)があります。あなたも経験があるように、どんなに普段節制していても、生理前になると食欲が増し、我慢ができなくなって、普段は食べないようなものまで食べたくなってしまいます。PMS(生理前症候群)のひとつですが、症状の大小こそあれ、女性であれば誰でも起こる症状です。
例えば、生理が7日間続くとします。その一週間前から徐々に食欲やイライラ、むくみ、骨盤の開きなど身体的な変化が現れますね。それは生理開始まで続き、生理の開始から終了にかけて少しずつ落ち着いていきます。しかし、生理が終わればすぐに体調が回復する人ばかりではありませんね。わたしの場合は、生理終了後3日くらいはまだ全快ではなく、4日目、5日目あたりになってやっと「あ〜、なんか人間に戻ってきた〜!!!」と頭がスッキリする感覚になるんです。ここではじめて、わたしの生理は終わり。でも、その後1週間強でまたPMSが始まるんです。
わたしは若い頃から次女を出産した30代前半まで、眠気や腹痛、イライラなどひどいPMSに悩んでいました。その頃は本当に万年ダイエッターで、糖質制限はもちろん、ファスティングや置き換え、サプリメントなどあらゆる「制限」ダイエットをして生きていたんです。しかも、万年ダイエッターということは、毎回リバウンドしてはダイエットを繰り返していたということ。この頃は完全なる隠れ栄養不足(見た目は健康的だが、必要な栄養が極端に足りず、体内は栄養失調状態であること。食べないダイエットを繰り返してきた人に多い)でしたから、PMSも重かったのだと思います。
快調な1週間と少しの期間にファスティングなどで数キロのダイエットに挑戦しては、PMSや生理開始を境に節制のブレーキが外れてしまいドカ食い、やけ食いの嵐。あんなに辛い思いをしたのに、太る時は本当に気持ちがよくあっという間です。
きっと、あなたも同じ経験があるのでは?
このように、運動ありき&男性目線で考えられた糖質制限ダイエットは、生理のある女性には障害が多すぎなのです。
2.食事の中心にいるのはあなた
わたしが今こうして食べて痩せるダイエットを発信し続けることになる、思い出深いエピソードがあります。
その日、わたしは幼稚園児の息子とまだ赤ちゃんだった娘との3人で夕食を食べていました。夫は少し帰宅が遅いので普段の夕食はわたしと子どもたちだけです。夫もいないことだし、わたしは夕食でお米を抜くダイエットをしよう!と思い立ちました。特別ダイエットメニューというわけではなく、夫用に準備をした大人用の食事から単純にお米を抜くだけです。1日目、2日目と少しずつ体重が減るのが嬉しくて、わたしは今日も頑張ろう!と子どもたちに食事をあげながら、自分はおかずだけを食べていました。
すると、幼稚園児の息子が言いました。「なんでママはご飯食べないの?」
不思議なことに、わたしはその問いに答えることができませんでした。
その時のわたしは、「ママはダイエット中だから」と言えば「ダイエットするにはご飯を食べなければいいんだ!」と思わせてしまわないだろうかとか、「ちょっと太っちゃって」と言えば「太っていることはご飯が食べられないくらい悪いことなんだ」と刷り込んでしまわないだろうかとか、本当にいろいろなことが頭の中がグルングルンと駆け巡っていたと思います。頭が混乱するとはこういうことかな、と今冷静になってみれば思うところもありますが。
ただ、その時わたしが何と言ってごまかしたのか、正確には覚えていません。
でもその時、わたしは、自分が子どもに説明できないとんでもないことを目の前でしているのではないだろうか、というとても恐ろしい感情で一杯になってしまったのです。
夫婦共働きが増え、核家族化が進み、母親だけが家事をして食事を作るという家も減ってきたと思います。実際、うちの夫も非常によく家事をしますし、食事も作ってくれます。それでも、時間的制約や物理的な面からも、まだまだ母親が家族の食卓を支えている家は多いのではないでしょうか。
その中において、わたしたち母親は子どもに対し好き嫌いなく、行儀よく食べるよう躾、食育をしているはずです。きっとあなたも毎日の献立に頭を悩ませながら、どうしたら子どもが健康に育ってくれるか考えながら台所に立っていますよね。
何でも好き嫌いなくたくさん食べよう!と子どもに言いながら、自分はお米を抜いたり、野菜だけの食事にしたり、食事自体をやめてしまったり。そういうことを子どもの前でしていないでしょうか?わたしはその罪悪感に耐えられませんでした。きっと同じような気持ちになる女性は多いと思います。
家族の食事の中心にはあなたの存在が不可欠です。あなたが糖質制限をするからといって、子どもや夫にまで同じメニューにはできませんし、かといって、大好きなお米やパンを目の前で毎日毎日食べられて、ずっと我慢し続けることも辛いものです。糖質制限は、一人暮らしや食事に頓着しない家庭ならありかのしれませんが、子どもにしっかりとした食習慣を身につけさせたいと思うあなたには、もしかしたら向かない方法かもしれませんね。
3.産後ママは体力勝負
うちには3人子どもがいますが、わたしが一番産後太りで悩んだのが、長女(第二子)の出産後でした。当時わたしは32歳。長男の時のように20代での出産とは違い、夜中の授乳ですんなり起きれないことや、寝不足からのイライラなど今までとは違う不調を感じていました。30代の出産は体力が落ちて20代との落差がひどい、とは聞いていましたが、これほどまで体力がないとは驚いてしまいました。それでも、半年ほどで妊娠前体重に近いくらいは体重が戻ったのですが、なんとわたしはここから再びリバウンドをしてしまったのです。
8月生まれの娘を保育園に預けて、わたしは翌年の4月から社会復帰をしました。小学校の臨時として働きだしたのです。しかし、久しぶりの仕事、民間とは違う感覚の公務員の世界、1日4時間とはいえ責任のある仕事、しかし度々ある保育園からの呼び出しや発熱でのお休み。いろいろなストレスでわたしは蕁麻疹や急性中耳炎となってしまいまいした。疲労で免疫が極端に落ちていたのでした。産後1年近くたっても、わたしの体力は回復していなかったようです。「自覚している以上に疲れているのかもしれない…」その時はそう思いましたが、仕事をやめるわけにもいかず、わたしは溜まるストレスと疲労を、次第に1日1個のコンビにスイーツで解消するようになったのです。
毎日仕事帰りかお迎えの途中にコンビニに立寄り「今日の分はこれ♪」と手にする充実感。一ヶ月も続くと次第に服がキツくなったり、鏡にうつるスタイルに変化がでてきて…。気がつけば見事なリバウンド。ジーンズの股はこすれ、チュニックやワンピースでお腹やお尻を隠す日々。なんだか情けなくなってしまったんですよね。
そんなある日、何度目かの糖質制限・食事制限ダイエットをしていた時です。夫が「ママはもうご飯抜きのダイエット禁止!」と言ったんです。驚きました。どうやら、わたしは食事を抜くダイエットをする度にイライラを募らせて子どもたちに辛く当たっていたんだと、それは家族からみてもやりすぎなくらいなのだと。目が覚めるような気がしました。
夫のひと言を受け、食べないダイエットは中止。夫や子どもたちと同じように、お米をしっかり食べるようにしたら、少しずつ不機嫌なことが減っていき、何より毎日のお菓子が減って、徐々に体重が落ちていったのです。あー、健康的なダイエットってこういうことを言うんだな、とその時わたしははじめて今でのことが腹にストンと落ちたのでした。
リバウンドからのダイエット話は少し余計でしたが、産後ママは特に免疫機能が不安定です。すぐに生理が再開するほど身体の回復が早い人もいれば、1年以上いろいろな不調が続く人もいます。特に、体力の低下や免疫の低下によって今までなったことのない症状に悩まされる人もいるでしょう。
そんな時なのに、ダイエットのためとはいえ食事を抜いて必要な栄養素を確保できないことは、さらなる心身の不調を悪化させる原因になりかねません。
わたしは3人目の出産時は絶対に2人目の時のようなことにはなりたくなかったので、お米をたくさん食べました。病院では1食270gのお米を毎食完食。母乳のためにも良かったし、何より、産後の肥立ちがとても良くなったと思います。それでも、36歳という高齢出産でしたから、普段痛くところが痛かったり、痒くないところが痒くなったりそういうこともありました。
それでも、体重は半年で妊娠前に戻り、1年かけて20代の頃の体重まで落すことができました。産後の女性はとにかく体力勝負です。エネルギーを確保するために、バランスのよい食事は本当に大切です。そのためには、お米やパンのような炭水化物も必ず必要なんです。あまり糖質を怖がらず、むしろダイエットの大事な仲間としてしっかり食べてくださいね。
いかがだったでしょうか?
糖質制限ダイエットはすごく手軽にできて、さらにお肉や野菜は食べることができるので、いろんな人が挑戦しています。でも、実際には失敗した人もたくさんいますよね。ネットや広告で大々的に報じられる成功体験の裏には、それ以上の失敗した人がいるはずです。
特に、出産直後の女性は、食事の量を減らすダイエットは本当に危険です。産後の不安定な身体のリズム、そしてメンタルが正常に戻るまでには時間と栄養が必要なんです。
ダイエットは焦っても続きません。あなたが思い描く理想よりもう少し長く期間を設けてください。きっと心に余裕がでて、ダイエットが楽しくなってくるはずですよ。