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妊娠中の体重増加について考える

《妊娠中の女性の適切な体重増加量について、厚生労働省は、目安を引き上げる方針を固めた。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6386709

今日の報道をうけて、多くの妊婦さんは少しばかりホッとしているかもしれませんね。もし厚生労働省が今後この方針で妊婦への栄養指導、体重指導を産科の医師や看護師、助産師に指導するよう通達すれば、これまでのあいまいな厳しい体重管理が今より少し緩やかになり、安心してマタニティライフを送れる妊婦さんが増えるかもしれません。

 


報道によると、厚生労働省は、BMI25までの標準体重の妊婦に対し、妊娠中の体重増加を12〜15kgと3kgほど目安を引き上げる方針のようです。今まで、妊婦の間では、あの病院は体重管理が厳しい、とか、あの病院はゆるいなど“評判”のひとつとして度々話題になってきました。わたし自身は、いわゆる県内でも体重管理に厳しいと評判の総合病院で3回のお産を経験しましたが、標準体重だったことに加え、体重の増加が臨月に入ってから顕著だったこともあり、あまり制限をされたことはありませんでした。ただ、友人などからは「あの病院は体重管理厳しいでしょ?」と本当によく聞かれたので、管理が必要な人には非常に厳しい病院であることは間違いないようです。

ネットニュースのコメントを読むと、「あんなに厳しいのは日本だけ」とか「体重管理のことを厳しく言われてストレスだった」とか「頑張って体重が増えないようにしたのに結局低体重で産まれた」など、今までの指導基準が厳しすぎたのでは、という声も多いようです。一方、体重の増え過ぎによる病気(妊娠糖尿病や妊娠高血圧症など)の心配を指摘する声も少なからずありましたし、あまり制限しないで体重を増やしたがために、産後体重が戻らずにそのまま肥満になってしまった、という悲痛な叫びもありました。

この、妊娠中の体重増加問題へのわたしの考えとしては、妊娠中の女性はストレスを軽減することが一番で、12〜15kg程度の増加は必要かつ許容範囲だろうと思います。よって、今回の報道が本当で現実となれば、とてもいい方向に向かっているなと感じているところです。

 


大事なのは量ではなく「質」

今回の報道を受けて、妊娠中は体重がどんどん増えてもいいんだ!とお墨付きをもらったようで嬉しくなる妊婦さんもいるかと思いますが、食事内容や生活習慣によっては、全く子どものためにならない体重増加もあることも覚えておかなければいけません。

例えば、妊婦は二人分食べなきゃダメよと、親やお姑さんから言われたなんて昔話も聞きますが、だからと言って、ごはんを大盛り、ケーキもバクバク、焼き肉やトンカツなど脂っこい外食を繰り返してしまっていいということではないのです。

今回の話は、あくまでも低体重で産まれてくる赤ちゃんを増やさないこと、そのためにはそもそも低栄養の妊婦を増やさないことを目的にしているものです。ですから、脂肪や糖質に偏った食事を続けて「量」は増えてもその「質」が悪ければ、子どものためにはなりません。結局、妊娠糖尿病や妊娠高血圧となり管理入院になってしまって、楽しいはずの妊娠ライフも台無しになってしまいます。二人目以降のママなら、上のお子さんと離ればなれになってしまうこともありますから、質の悪い食事で体重を増やすことには注意しましょう。

 

 


太れない妊婦もいる。より配慮を。

今回「増やす」という方針が用いられる背景には、そもそも低体重で産まれてくる赤ちゃんが多いという問題があります。今から20年くらい前まで、わたしが10代〜20代までは、赤ちゃんは小さく産んで大きく育てるのがいい、と本当に言われていました。大きすぎるとお産が大変で、母体に負担がかかってしまうという理由からです。しかしながら10年ほど前の長男の出産時には、それはもう古いよね、という空気もチラホラありました。しかし、それでも3000gを超す赤ちゃんは徐々に少なくなっていき、3000gを超すわが家の子どもたちは、大きいねなどと言われるようになりました。

これはわたしの友人の体験談なのですが、彼女は妊娠中に体重が5kgしか増えず、子どもは予定日より1ヶ月ほど早く低体重で産まれました。結局、新生児病棟に入院することになったようだと聞いた時は、わたしはまだ独身でしたので、とても心配したのを覚えています。少し大きくなってから会った時、少し細身だけれど元気に育っていて良かったなと思いましたが、友人は将来の糖尿病や高血圧のリスクがあることをやはり心配しているようでした。彼女とは高校時代からの付き合いなのですが、若い頃から食が細く、クラスの中でも痩せていました。おそらくあまり太れない体質なのだと思います。

だからこそ、わたしは今回の報道で、そういう、体質で太れない人、多くは食べられない人もいることをぜひ知って欲しいと思いました。もし、今回の指針を国が国民に示す事になれば、今後、妊婦に対し、世間が体重の増えない妊婦は自分優先で赤ちゃんのことを考えていない、と冷たい目で見るかもしれません。今までは、体重が増えないほうが良かったのに、今度は増えないことが悪い事のようになってしまう。そんな空気にならないと言えるでしょうか?だたの杞憂かもしれませんが、この時代、どんな場面で価値観の違う人に攻撃されるか分かりません。妊娠中の体重の変化も「個人差」があるということを頭の片隅に入れておきたいものです。

 


妊娠前から母体にいい栄養を蓄えておく

ネットコメントを読み進めていくと、多くの人が「妊娠してからの体重管理」に焦点を当てているように感じます。しかし、受精後、胎児はまずはじめに母体に蓄えられた栄養を材料にして成長します。例えば、妊娠中の悪阻は超初期の段階から、だいたい4ヶ月から5ヶ月程度まで続く人が多いですが、その間あまり食べられなくても胎児は大きくなっていきますよね。脳や神経など赤ちゃんの非常に大事な組織は、妊娠初期に作られるため、妊娠中の食事内容よりも、妊娠前に蓄えた栄養素をもとに形成されていくわけです。

そう考えると、妊娠中にどれだけ増えるか、増やさないかよりもっと大切なことがみえてきます。それが、妊娠前の食生活です。もともと痩せ思考が強く妊娠中も太りたくないからと食事を減らす人は、そもそも身体が低栄養状態で、蓄えられている栄養素量が少ない可能性があります。また、妊娠初期や中期からどんどん体重が増えてしまう人はバランスのよい食事の習慣化が不十分なため、妊娠中のストレスもあり、ストレス解消のためと甘いものを食べて過ぎてしまうことも考えられます。

今は、年齢を重ねてから結婚妊娠をする人も増えました。反対に、親元を離れて自由に食事を楽しんでいたり食事が乱れている中で妊娠する若い世代の妊婦さんもいます。子どもをもつということは、一時のことではなく、長ければ20年は育てる責任を負うものです。できるだけ健康で丈夫な子どもに育ててあげることは、子どものためであり、健やかな生活を送る親自身のためでもあります。

もし、あなたが今後妊娠や出産を考えているなら、妊娠していない今の食習慣から変えていきましょう。その積み重ねがあれば、妊娠中に必要な分体重を増やしても、しっかり健康な体重に戻すことができるはずです。

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