【コラム】リンゴの花とミツバチ
我が家の庭にひめりんごの木があります。去年はあまり花をつけず寂しい気持ちになりましたが、今年は盛大に咲きました。
花が咲くまえ蕾をつけますが、今年は暖かくなってきてからすぐにぽっぽっと薄いピンク色の蕾が増えて、この調子だと今年はたくさん咲くね!と夫と楽しみにしていたのです。
リンゴは桜よりも半月から1か月ほど遅く咲きます。桜と同じバラ科の植物なので花の形は良く似ています。匂いはあまり強くなく、近づくとほんのり甘い香りがします。
ここ数日、その香りに惹かれてミツバチがたくさんやってきました。小さな小さなミツバチですが、わたしは少し怖いのです。刺さない刺さない、ミツバチはわたしになんか興味ないんだから、と思っていても、あの羽音が耳元で奏でられるとドキドキします。絶対にいたずらしたりしないんだけど、と思いつつ、わたしの何がミツバチの逆鱗に触れるか分からないので、この時期は少し遠巻きにして見守っているつもりです。
花が咲く、ミツバチが飛んでくる、ミツバチが花から花へ移ろっていく、受粉をする。この小さな昆虫のおかげで、秋、わたしは小さな果実の収穫を楽しむことができるのですね。
きょう我が家で飼っていた小さないのちが旅立ちました。怖くて悲しくて心がざわついたままです。でも、わたしもりんごもミツバチも、そして旅立ったそのいのちも何かを支え、支えられて生きている。そんなことを感じる日差しの強い春の日です。