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【コラム】あずきを煮たらみえてきた

オレンジのル・クルーゼがある。結婚祝いに小さなサイズをいただいてからその優秀さに惚れ込んで、ある年の誕生日に夫が大きめのサイズを買ってくれたもの。そんな甘い思い出(笑)のル・クルーゼで、夏の終わりに小豆を煮た。秋にリリースされるダイエットレシピの試作。「少し高い方が美味しいのかも」なんて打算も入り、近所のスーパーで購入した400gのあずきは、ツヤツヤした光沢がとてもきれい。少しだけ手のひらに乗せてスルスルゆする。手に伝わる感覚がまるで小さな生き物を乗せているように危なっかしい気持ちになる。

さて、やってみよう。でも、豆を煮るなんて、丁寧な暮らしをしている人がゆっくり優しく話かけながらやるものと思っていたから、いわゆる梅仕事もしたことのないわたしにとっては、憧れのお料理についぞ挑戦するのだ!という前のめり感さえ漂うのである。ここでもうすでに成功する気がしない。

使い込んだル・クルーゼに豆と水を入れて火にかける。渋きり。この時袋の後ろを読んで初めて知る言葉をさっそく使ってみる。アクが出てきた。しかし、ネットの情報では、このアクにも栄養があるという。次第にもったいない気持ちになってくる。少し考えて、渋きりは2度の予定を1度に変更。美味しさと栄養を天秤にかけるのもなかなかバランスが難しいのですよ。

あずきを鍋に戻す。なぜか胸が高鳴る。「わたしこの間あずきを煮たのよ」なんてドヤ顔で友人に言う日がくるのねぇ、なんて考えていたら、ワクワクが止まらなくなってくる。信頼しているル・クルーゼの蓋をしっかりしめて弱火でコトコト煮込んでいく。ふくふく、ふくふく。至福の時間を堪能だわ、なんて思っていたのに、1時間も煮るともうほっくり。あっという間の出来上がり。あぁ…ル・クルーゼいい仕事してるぜ。

丁寧な暮らしをしたいとは思わない。でも、命を大切にする暮らしはしたいと思う。

誰かの賞賛を得るために手間をかけるのではなく、平凡でありきたりで目新しいものではなくとも、呼吸のしやすい生活。眠りにつく時に今日も1日頑張ったな、と思える毎日。365日手作りの食事じゃなくても、無添加の野菜じゃなくても、肉をたらふく食べても、心が落ち着く、生きててよかったと思える日々を、ぜひあなたも。

 

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